後編に行く前に:【前編】浪費癖との戦い振り返り
走馬灯です。
前回の記事「浪費癖 直し方|貯金マンから浪費沼へ転落した20代の体験談【前編】」を読んでくださりありがとうございます。
後編のこの記事では、20代ですっかり浪費家になってしまった私が、そこからどうやって浪費癖を直して500万円の貯金を1000万円に増やし、現在の資産3000万円を作れるようになったのか、というところを紹介します。
その前にざっくり前編の振り返り、いってみましょう。

そもそもどんな幼少期だったの?
高校卒業まではお小遣いもお年玉もすべて貯金。母親に「守銭奴」と呼ばれる。
貯金の背景にあるのは、父親に養育費を請求する苦痛から逃れたいという気持ちから。母子家庭で貧しかった。

高校卒業までに貯めたお金は何に使ったの?高校卒業してからは何してたの?
上京資金。父親に養育費を請求する役目を何年も続けた「嫌な思い出」の染み付いた家から逃げ出したかった。
とにかく時給の高いところで働き1年間で200万円以上貯めることに成功。しかし貯金が増えたことで気が緩みお酒・タバコ・洋服にハマり一気に浪費家へと転落。

どうして浪費をやめようと思ったの?
タバコの値上がりをきっかけに、このまま値上がりが続いたら年間でどれだけタバコに使うのか…を計算し愕然。上京するときに使った「自由になるための金額」をたった2年で使い果たすほどの金額だとわかる。
誰かとつながる手段だと感じていたタバコやお酒が、実は「自由を奪うもの」であったと気づき、「変わりたい」と強く思い浪費癖を直そうと決意。
浪費癖脱却の決断と環境リセット
変わりたい。もう一度、自由になりたい。
そう思った直後、何をしたか?
まずは浪費の原因となっているものを手放しました。一度に、一気に、全部、家の中からなくなるように、手放しました。
家にあった買い置きのタバコ、ライター、行きつけのバーの名刺、マッチ、バーで会うだけの常連仲間の連絡先。全部を家の中から追い出しました。
まずは携帯電話の電話帳から該当する連絡先を着信拒否、メッセージ受信拒否に設定し、携帯の電源を切ってクローゼットの奥にしまいます。
財布と捨てるものを持って駅に向かい、電車に乗ってあまり降りない数個先の駅で降りて家にあったタバコ、ライター、行きつけのバーの名刺、マッチなど、タバコに手が伸びそうなもの、タバコを吸っていた時のことを思い出しそうなもの、をすべて処分。吸いかけのタバコも捨てて、手持ちのタバコをすべて手放しました。
転職の予定をぼんやりと頭の中で考えながら家に帰り、以前お世話になった派遣会社に連絡しました。これまでと同じ仕事をしていたらまた同じ環境に戻ってしまうかもしれないと思い、その時流行りのIT業界で働きたい旨を伝えました。
IT業界への挑戦と転職体験
せっかくなら仕事で忙しくなって他のことに興味が沸かないようにしたいとも思っていたので、未経験のIT業界はまさにうってつけだったのです。当時の私は、IT業界ってなんかカッコいい…カッコいい仕事してたらお金貯まりそう…みたいな動機もあり、IT業界で働きたいと思い始めると何が何でもIT業界で働きたくなっていたのです。動機があるとやることも自ずと決まり、派遣の面接までの1ヶ月でタイピングを練習(お気に入りの歌を聞きながら歌詞をタイピング)をしたり、HPの作り方を学んだり(HPの作り方を紹介しているサイトを参考にコピペでHPを作りながらソースコードを少しずつ編集)と、独学でできることを頑張って勉強していました。
しかし当時は23歳。まだまだ子どもに毛が生えたような年齢です。
IT業界は未経験。趣味で安いパソコンパーツからPCを組み立てていたのですが、履歴書に書けることなんてそれぐらいしかありません。
また、当時はIT業界というと男性がほとんどだったので、女性で23歳の私は面接ではそりゃあ舐められましたし馬鹿にされました。20年ほど前なので、そういう時代でした。
面接で言われた「未経験なのはいいけど、年齢が若すぎて…大丈夫? 責任感持ってできるの?」という言葉は今も忘れられないぐらい悔しかったです。この悔しさが、後の成功への原動力になったのは間違いありません。
正直、絶対に落ちただろうなと思っていました。ですがどういうわけか採用していただき、翌月から働けることに。
採用が決まったときには、「働き始める日まで2週間あるから、それまでにHPを作ってきてね」という宿題をいただきました。面接で悔しい思いをしたこともあり、絶対に見返してやる、という気持ちから、HP作成の勉強に割く時間を大幅に増やしました。
いざ人に見せるのだと思うと、HPの作り方にも力が入ります。調べれば調べるほど覚えることはあり、できることが増え、見せ方の幅が広がり、HTML、CSS、CGIといった技術を駆使してHPを作成しました。毎日HPを作ることに夢中になって、睡眠時間を削り、はじめて「人に見せるHP」を作成しました。
これが転換期だったように思います。
派遣先で作成したHPを提出すると、予想以上にいい出来だったらしく、底辺だった評価が一気に上がりました。
働き始めると時給もコンスタントに上げてもらえて、まかせてもらえる仕事も多く、HP作りにすっかりハマっていた私は、仕事以外の時間をほとんどそれに費やして家でも職場でも1日中パソコンをいじっていました。
バーに通っていた時間もタバコを吸っていた時間もショッピングに使っていた時間もぜんぶパソコンをいじる時間に変わったのです。完全に引きこもりですが、お金、めちゃくちゃ貯まります。1日の時間の使い方が変わり、休日の過ごし方が変わり、仕事以外で家から出ることはほとんどなくなりました。働いてHP作りで遊んで入ってきたお金はずっと銀行口座に貯まり続けるループができました。
お金が貯まり始めました。引き換えに、体力はどんどん減りました。
1年もすると外を歩くことと日光がとびきり苦手になってしまい、出勤時には会社までの坂道を歩いている10分弱の間で、同じ会社の人たちが最低5人は私を追い抜いて行きます。追いつこうにも日光のもとで坂道を歩くだけでも行きが上がり、毎朝ヨロヨロになりながら坂道を攻略することになっていたのは、今になってみればいい思い出です。
IT転職のコツとしては、複数の派遣会社や転職エージェントに登録することです。
転職では、相性のいいコーディネーターと出会えるか、がとても大切です。こちらの要望を汲み取ってくれる、熱量とテンポ感が同じ、電話連絡の時間帯が双方ちょうどいい。とても些細なことですが、このあたりが合致すると、相性のいい会社を紹介してもらえるように思えました。
おそらく些細なところが合致すると仕事や会社に対する価値観も近いものがあり、結果的に、コーディネーターがいいと思う会社は自分もいいと思える会社である、という図式になるのだと思います。
また、未経験転職の場合、コーディネーターに「挑戦しようとしている職種ではどういう技術が求められているか」をあらかじめ聞いてみるといいでしょう。転職が決まる前からその技術習得に向けて勉強すると面接でその業界ならではの会話となった時にも話しやすいです。
参考までに、私の場合は以下のようなことをしていました。
- ブラインドタッチの練習
お気に入りの曲を聞きながらキーボードで歌詞をひたすら打ち込む、という練習をしていました。 - HP作成の勉強
コピペでできる!系のウェブサイトをいくつも参考にして、何個もHPを作成しました。
10個以上作成しましたが、中身に掲載するコンテンツは全く思いつかなかったので、毎回ガワだけ作って放置していました。 - 自作のPCを作る
これは転職のためにしたことではないのでおまけ的な立ち位置ですが、当時はデスクトップPCが高額だったので、節約のために自分で安いパーツを買い集めて作っていました。
新しい生活スタイルと貯金の加速
IT業界への転職、新しい趣味の発見。これにより完全に私の生活は一変しました。
お金はかからないけれど時間のかかる趣味(HP作成のためのHTML、CSS、CGIの勉強)は貯蓄への一本道。趣味で学んだことは仕事にも活かせるので達成感もある。
充実感と達成感という好循環が生まれ、もともと「守銭奴」と呼ばれていた私はお金が貯まり始めるとさらに残高を増やしたくなります。節約が楽しくなる瞬間でした。
仕事に慣れて、気持ちの余裕が出てくると、生活費の中で無駄を見つけて、それを撲滅することに楽しみを見出すようになりました。
当時、生活費の無駄を撲滅するためにやったことには以下のようなものがあります。
- ソフ◯バンクでの回線契約を解約し格安SIMを導入。
- テレビを処分してN◯Kを解約。
- 給料日には銀行に行き最低限の生活資金のみ引き出して残金はすべてキャッシュカードを作っていない別の銀行口座移動。
- ボーナスは全額上記口座に移動。
- 大量にあった服をフリマで売る。
- 買い物はすべてクレジットカードにして使った金額を把握。
これだけで面白いぐらい貯金が捗りました。通帳に記入される残高がどんどん増えるのはとても楽しかったです。
IT転職から約2年後、貯金が300万円を超えたあたりから、上京先で一人、という不安はまったく感じなくなりました。現在は年間150万円以上を投資に回し、資産3000万円を達成しています。
もしかしたら、服を買うことに執着していたときは一人が不安だったのかもしれません。お金がないと、何かあったときに一人では死にますからね。そこそこの貯金ができると、頼れる人が誰もいなくても死ぬことはないです。ちなみに、IT業界に転職してからそれ以前の人間関係はぜんぶ精算しました。酒とタバコと服で浪費するコミュニティに戻りたくなかったからです。
具体的な節約・貯蓄テクニック
月4万円の固定費削減に成功した5つの方法
携帯代を月8000円→1390円に削減
節約効果:月約6600円、年間約8万円
ソフ◯バンクでの回線契約を解約し格安SIMを導入。
最初に手をつけました。当時はソフ〇バンクで毎月8000円ぐらいの携帯代を支払っていましたが、幼少期の思い出から電話が大の苦手で、通話はほとんどしなかったため、通話時間が数分の格安SIMに乗り換えました。携帯代が半額以下になりました。
当時は格安SIMの種類が少なく選択肢が少なかったのですが、今は選択肢が多いので通話時間が少なくて安いプランを使っています。ここ数年は日本通信SIMの「合理的みんなのプラン(通話5分、データ20GB)」を利用しているので、携帯代は月々1390円です。安い。
NHK受信料をカット
節約効果:年間約1.4万円
テレビを処分してN◯Kを解約。
テレビ、見る時間がなかったので処分しました。捨てると粗大ごみ処理の料金がかかるので、リサイクルショップに持ち込み数百円で買い取ってもらいました。N〇Kはすぐに解約し、今もテレビは見ていません。
自動貯金システムの構築
意識しなくても頑張らなくても自動でお金が貯まる仕組み
給料日には銀行に行き最低限の生活資金のみ引き出して残金はすべてキャッシュカードを作っていない別の銀行口座移動。
当時はATMで作業する必要がありましたが、現在はネット銀行を使っているので、以下を毎月自動で行うように設定しています。
- 給料日翌日に家賃とクレジットカード使用料引き落とし口座に月々の生活費を自動送金。
- 給料日翌日に証券口座で毎月投資信託を一定金額自動買付。
- 上記完了後の残金を全額貯金口座(キャッシュカードなし。ATMで引き出しできないので使わない)へと自動送金。
- ボーナスは全額貯金口座に移動。
断捨離による臨時収入
購入価格の8割を回収
大量にあった服をフリマで売る。
服にハマっていたときに大量に買ったアイテムをフリマでちまちま売っていました。購入時の金額の8割程度は戻ってきました。これは臨時収入として貯金口座に全額移動しました。
失敗した!NG節約方法
いろんな節約を試した中で、これは失敗したな…と感じるものもありました。節約、やり始めるとハマってしまうんですよね。
私が失敗したな、と思う節約は、具体的には以下のようなものがあります。
- 食費を極端に削る
→ 体調を崩して逆に医療費がかかってしまう。 - 安い服をまとめ買い
→ サイズが合わなかったり布がペラペラだったりして着てもテンションが上がらず、結局数回着るだけで捨ててしまって無駄に。 - ポイ活に熱中
→ 時間がかかるわりに節約できる金額が小さく、コスパが悪すぎて挫折。
大事なことは、いかに労力をかけずに成果を出すか、いかに自動化するか。
私は面倒くさがりなので、一度のテコ入れ手で効果が大きいもの(格安SIMやNHK解約)、自動化できるもの(毎月定額自動送金、自動積立)が続けやすかったです。
完全キャッシュレス生活 現金を持たずクレジットカードのみ → 衝動買い激減
毎月の利用明細チェックで支出を「見える化」
買い物はすべてクレジットカードにして使った金額を把握。
無駄遣いを減らせた、浪費家への逆戻りを防いだのはこれが大きいです。全部クレジットカード決済にして、財布には現金を入れずに過ごしていたので、現金を使った衝動買いがなかったです。クレジットカードで衝動買いをすることもゼロではなかったのですが、毎月クレジットカード利用明細を欠かさず見ていたので、衝動買いしたものが無駄だったのか必要なものだったのかを冷静になったタイミングで見極められるようになりました。無駄だったとわかると、不思議と衝動買いも減りました。知る、ということは大事ですね。
浪費癖を直すために最も重要だった3つのポイント
浪費癖を直したい方へ|3つのステップ
Step1:現状を数字で把握する
- 月の支出を全て書き出す
- 「これは本当に必要?」を自問
- 目標金額と期限を設定
Step2:環境を物理的に変える
- 浪費の原因となるものを家から排除
- 人間関係の見直し
- 自動化できるものは自動化
Step3:新しい習慣で時間を埋める
- お金のかからない趣味を見つける
- スキルアップに時間を投資
- 成長実感を得られる活動を選ぶ
浪費癖を直すにはこのステップがとても大切です。そしてこの3つを即座に、スピーディに行うことが、私はとても効果的だと思いました。
当時の私にとって、浪費家からの脱却はかなりの変化でした。なので、ゆっくりやっていたらまた戻ってしまうと思いました。
私は意思が弱いし周りに流されやすいので、そういう余地がないぐらい、すぐに決めてすぐに行動して、誰にも引き止められないぐらい素早く行動する、ということをしないと、また立ち止まると思ったのです。
特に私には数字と向き合うことがすごく効きました。これは学生時代に自由になるための金額が50万円だった、という体験があってこそだと思います。もし皆さんにもそういう思い出の数字やきっかけとなった金額があるのなら、数字と向き合うのは効果的かもしれません。
浪費を直したい方、まずは自分がどうなりたいのか、いつまでにいくら貯めたいのか、まずはしっかりと頭に思い浮かべてみてください。できることなら紙に書き出すといいかもしれません。私は紙に書いて毎日目につく場所に貼っていました。悔しかったことや虚しかったことを書いて、忘れるな!と大きく赤文字で目立たせていました。
その上で、必要な仕事や時給や月給を探し、それに合う仕事を探し、環境を変えてみてください。
今まで浪費していたのなら、今の環境は浪費する環境だと思います。すごく楽しくても心地よくても、浪費する環境なのです。
ほんの一瞬で良いので、未来に意識を飛ばしてみてください。
もちろん、楽しく生きていたい、という気持ちを大切にするのなら、浪費が正解になることもあると思います。でも、浪費癖を直したい、変わりたい、と思うのなら、変わることを決意して、変わらざるを得ない環境に飛び込んで、変わってゆくことを諦めないでいられるよう度々「変わりたい」と思った時の気持ちを思い出してください。
そうすれば、きっと変われます。一緒に頑張りましょう。